AWSとは?初心者の人にもわかりやすく解説

AWSはAmazon社が提供するクラウドコンピューティングサービスであり、ビジネスに多大な影響を与えることができます。

この記事では、AWSの特徴やメリット、代表的なサービス、導入事例、資格、そして覚えておくと良い用語について解説していきます。

AWSとは?

AWSとは、「Amazon Web Services」の略で、企業向けのクラウドコンピューティングサービスです。

名前からわかる通り、ECサイトで有名なAmazon社が提供しています。
AmazonがECサイト以外にもクラウドコンピューティングの提供をしているの?と聞かれることも多いのですが、実は2021年の営業利益の55%はAWSから上がっているほどの主力サービスとなっています。パブリッククラウドのグローバルシェアでもトップを走っているのがAWSなのです。

世界トップシェアのクラウドサービス

世界トップシェアのクラウドサービス
出展:https://www.srgresearch.com/articles/as-quarterly-cloud-spending-jumps-to-over-50b-microsoft-looms-larger-in-amazons-rear-mirror
Amazonグループの半分以上を占めている

Amazonグループの半分以上を占めている
出展:https://s2.q4cdn.com/299287126/files/doc_financials/2021/q4/business_and_financial_update.pdf

インターネット経由で、様々な範囲のサービスを提供しています

IaaS,PaaS,SaaSの提供範囲
IaaS,PaaS,SaaSの提供範囲

AWSでは、インターネットを介して、サービス提供がされており、その数は175を超えています。サービスについて理解するときには、次の3つのレイヤを意識するとサービスの把握がしやすくなります。

・IaaS:VPCやAmazon EC2に代表される、サーバーやストレージ、ネットワークなどのインフラサービスです。利用することで、データセンターやハードウェアの準備やメンテナンスから解放されます。

・PaaS:RDSに代表される、データベースやサーバレスなプログラム実行環境、コンテンツ配信などのプラットフォームサービスです。利用することで、LinuxやWindowsなどのOSおよびMySQLなどのミドルウェアの管理から解放されます。

・SaaS:Cognitoに代表される、ユーザーの認証や画像解析サービス、機械学習AIなどのソフトウェアサービスです。うまく活用することで、自社の開発を最小限に抑えて要件を実現することが可能になります。

AWSでビジネスがどう変わるのか

AWSの利用で、ビジネスがどうかわるのでしょうか?

AWSを利用することで、「ITリソースの購買体験」を大きく変えることができます。
AWSを利用することで、「ITリソースの購買体験」を大きく変えることができます。

ITリソースの購買体験を変えたAWS

従来であれば、要件定義、設計を行い、必要なITリソースのキャパシティの算出を行っていました。そのうえで、ピーク時のキャパシティに合わせたITリソースの調達を行います。購入後も運用が必要となり、ハードウェアの保守期限に合わせて、再度調達を繰り返すことになります。

AWSでは、必要な時に使った分だけ、事前の契約なしに、誰でもITリソースの調達が可能です。ITリソースの調達をAWSへ任せることで、調達のためのキャパシティプランニングや運用などの人的コスト、時間、ピーク時にあわせた調達費用を軽減したり短くすることできます。

事業展開速度の加速や、新たな可能性の創出効果が期待できる

その結果として、ビジネスにどのような利点をもたらすのでしょうか?

AWSにITリソースの調達を任せることで、システム導入の初期費用はもちろん、中長期にわたる運用のための人的工数やメンテナンス費用含めたTCO削減が可能になります

そこで削減できた人的リソースや時間を、本来のビジネスに投資することで、事業展開速度の加速や新たな可能性の創出ができるようになります。

AWSの特徴やメリット/デメリット

AWSを実際に利用してみて特徴的だと感じることをあげてみます。

メリット デメリット
初期費用ゼロ、使った分だけの従量課金 情報が多く流れが速い
高いセキュリティ アンチパターンでも何となく動いてしまう
高い柔軟性、拡張性  
冗長構成をとりやすい  
サービス(機能)が豊富  

簡単にまとめるとメリットとしては、「やりたいことを、低コストで、迅速に、しかもセキュアに実現できる。」という部分ではないでしょうか。
デメリットとしては、「便利な反面、いろいろと簡単に出来すぎてしまい、情報が氾濫している」ことです。

AWSでは、1から作るのではなく、数あるサービスをいかに活用していくかが重要になります。詳細なメリット/デメリットについては別ページで詳しくまとめているのでご確認ください。

 AWSの特徴やメリット/デメリット:https://denet.ad.jp/cloudpress/merit-demerit/

AWSの代表的なサービスで実現できること

AWSのマルチAZ構成
AWSのマルチAZ構成

では、AWSを使いどのようなことが実現できるのでしょうか?代表的な例を挙げてみましょう。

Amazon EC2を使うことでWEBサイトの運用が可能です。
アクセスが多いサイトであれば、CDNサービスであるAmazon CloudFrontを使うことで高負荷対策が可能です。障害に強い構成を組みたい場合は、ロードバランサーのElastic Load Balancingを組み合わせて、Amazon EC2などのリソースを複数のリージョンに分散させることができます。

参考:WEBサイトのマルチAZ構成例

また、完全に静的なコンテンツであれば、Amazon S3へhtmlファイル一式を保存し、CloudFrontでhttps配信する「サーバーレス構成」をとることもできます。

参考:S3とCloudFrontで、WordPressを静的サイト配信事例

AWSでは、WEBサイトの運用のようなIaaS的な使い方以外にも、様々なサービスを組み合わせることで多様なことが実現可能です。例えば、次のようなことが可能になります。

  • Amazon EC2でWEBサイトの運用
  • AWS Lambdaを使った、サーバレスな環境でのバッチ処理やAPI作成
  • Amazon Connectを使ってクラウドコンタクトセンターの構築
  • Amazon QuickSightを使ったBI環境の構築
  • ビッグデータ分析
  • IoTソリューションの構築
  • AIの活用

上記の詳細は別ページにまとめていますので、併せてご覧ください。

AWSの代表的なサービスで実現できること
 Amazon EC2とは?わかりやすく解説。
 AWS Lambdaとは?わかりやすく解説。
 Amazon Athenaとは?データ分析サービスを解説
 Amazon Cognitoとは?ユーザー認証サービス
 AWS クライアント VPNとは?リモートアクセスを提供

AWSの導入事例

AWSは、多種多様な業種や企業規模の会社が利用しています。

それを裏付けるように、AWS公式の導入事例ページには、公共、民間問わず、医療機関なども含め様々な事例が紹介されています。もちろん、事例にあるような大企業だけではなく、中小企業や個人までがAWSを利用しています。

弊社のお客様でも、同業他社や関連する大企業が導入していることが後押しになって、導入を決められているケースが多くあります。ディーネットのAWS導入事例も用意しているので合わせてご確認ください。

AWSの活用をサポートする「APN パートナー」

AWSには、APN(AWS Partner Network)というパートナープログラムがあり、技術力を証明されたパートナーからAWS活用のサポートを受けることが可能です。自社でエンジニアの確保が出来ない場合や、知見が不足している場合は、最適なAPNパートナーを選択できるように、支援先を探していきましょう。

パートナーランク
パートナーランク

パートナーには、4段階のティア(階層)があります。最高位が「プレミア」ティアとなっており、国内では12社のみが認定されています。続く「アドバンスト」ティアは、多くの実績、エンジニアの体制、顧客満足度が昇格条件になっています。

パートナー選びの指標の一つとして、「アドバンスト」以上のティアに属していることをしてみても良いと思います。

APNパートナーの詳細については、AWSの活用を支援する「APN パートナー」にてまとめています。

AWSに関する資格

2023年3月現在で、個人で取得が可能なAWS認定資格は12個あります。レベルは大きくわけると次の4つに分類されており、各レベルの中で出題領域が異なる資格が用意されています。

AWS認定
AWS認定

基礎レベルには、「AWS Certified Cloud Practitioner」が用意されています。このレベルはエンジニア以外の職種の方も、AWSの全体像を勉強しつつ資格取得しやすいレベルになっています。

アソシエイトレベルには、アーキテクト向けの「Solutions Architect」、運用管理者向けの「SysOps Administrator」、開発者向けの「Developer」の3つが用意されています。このレベルになると、実務経験があるほうが取得しやすくなります。

プロフェッショナルレベルには、アーキテクト向けの「Solutions Architect」、運用管理者と開発者が統合された「DevOps Engineer」が用意されています。このレベルは幅広い知識が必要になってきます。

専門知識レベルには、「Security」「Database」「Machine Learning」「Advanced Networking」「Data Analytics」「SAP on AWS」の6つが用意されています。

ディーネットでは、営業職をはじめとした非エンジニアメンバーには「基礎」および「アソシエイト」レベルの資格取得を推奨しています。エンジニアメンバーの対象は、「アソシエイト」「プロフェッショナル」「専門知識」レベルです。

AWSの知識習得をしてみたい。という方はぜひ基礎レベルからチャレンジしてみましょう。資格についての詳細や勉強方法については、別途下記ページを参照ください。

 AWS認定クラウドプラクティショナー:https://denet.ad.jp/cloudpress/clf/
 AWSに関する資格:https://denet.ad.jp/cloudpress/qualification/
 

覚えておくと良い用語集

最後に、AWSについて調べていると頻出する用語について覚えておくと良い用語集にまとめていますので、そちらもぜひご覧ください。

「リージョン」「アベイラビリティゾーン」「EC2インスタンス」などについて解説しています。

AWSでWEBサービスを運用するときのポイント

AWSのEC2やRDSを使って、WEBサービスを運用する場合にポイントとなるものがいくつかあります。ハードウェア障害や拡張までのリードタイムが短くなる以外は、オンプレとほぼ同様のことが必要になるので、どのように対応をするかを検討しておきましょう。

最近は自動復旧させる手段も増えてきていますが、根本原因がわからぬまま自動復旧させてしまい、永遠と同様のトラブルに遭遇するケースも増えているので、運用体制の強化は検討しておくと良いと思います。

AWS運用代行の中身
 監視
 障害復旧(一次対応)
 障害原因調査
 再発防止策(二次対応)
 インシデント管理
 セキュリティアップデート
 設定変更作業
 構成管理
 月次レポート
 ACMによるSSL証明書発行
 Route53によるドメインの維持管理
 アクセス集中対策
 アカウント管理
 AWSからの英文メール対応

AWSでWEBサービスを運用するうえのセキュリティ対策

AWSが提供するサービスについては強固なセキュリティが提供されますが、そのセキュリティ機能を使いこなす責任は利用者にあります。WEBサービスで主要なセキュリティについてもまとめているの参考にしてください。

WEBサービスのセキュリティ対策
 メール利用のリスクを軽減させる「メールセキュリティ」
 システムの脆弱性を発見する「脆弱性診断」
 WEBサービスのセキュリティ対策
 サーバーに対する「ウィルス対策」
 WEBサイトのセキュリティを守る「AWS WAF」
 日々発見される脆弱性に対する「仮想パッチ」
 改ざんにいち早く気づくための「改ざん検知」
 必要な通信のみ許可を行う「セキュリティグループ」

まとめ

AWSは、パブリッククラウド市場をリードするクラウドサービスです
企業の導入事例やサービスも豊富で、高いセキュリティ、柔軟性、拡張性があります。パートナーも充実しているので、ぜひAWSを活用してビジネスを加速させてみてはいかがでしょうか。

AWS環境の構築や移行、運用にお困りの場合は、ぜひディーネットまでお問い合わせください。

また、AWSについて外せないポイントを、図解を中心にまとめた3分ほどで読めるコンパクトな資料をご用意しました
今すぐAWSの活用は始めないという方でも、是非お手元において、今後のAWSについての学習や、活用時にお役立てください。


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