AWS(Amazon Web Services)は世界的に利用が拡大しているクラウドサービスです。クラウド導入・運用を成功させるためには、AWSの専門知識を持つ「AWSパートナー」の力を借りるのが近道と言われています。本記事では、「AWSパートナーを選びたい企業担当者」を主な対象とし、APN(AWSパートナーネットワーク)の概要からパートナーの種類、そして最適な選び方や活用事例までを徹底解説します。
目次
AWSパートナーネットワーク(APN)の概要
APNとは何か
AWSパートナーネットワーク(APN)とは、AWSが公式に認定した企業のコミュニティです。AWSのサービス導入や活用をサポートする企業が参加しており、以下のような支援やメリットを得ることができます。
- 技術支援: AWSの専門家による最新情報やドキュメント、ラボ環境などを利用可能
- マーケティング支援: AWS公式のパートナー検索や共同イベントなどで露出機会を獲得
- 認定資格の取得支援: AWSの各種資格取得に必要な学習リソースを利用可能
なぜAPNが重要なのか?
AWSクラウドを使いこなすには幅広い知識が必要です。APNに参加している企業は、AWSから一定の審査やトレーニングを受けているため、安心してクラウド導入・運用を任せられるというメリットがあります。
APNの歴史と進化
AWSの成長とともにAPNも拡大・進化してきました。初期は限られた企業のみが参加していましたが、現在では多様なパートナーが世界中で活動しています。
- パートナー種別の細分化
サービスパス、ソフトウェアパスなど、企業の強みに合わせて複数のカテゴリーが用意されています。 - 新領域への対応
AIやIoT、ビッグデータなど新たなIT領域に特化した認定プログラムも充実。 - 共同イノベーション
AWSとパートナー企業が協力し、新サービスやソリューションを共同開発するケースも増加しています。
AWSパートナーに依頼するメリット
企業がパートナーにAWSに付随する業務を依頼することで、下記のような利点を得られます。
ビジネスの拡大と収益向上
パートナー企業は、AWSを使った数々のプロジェクト実績やノウハウを持っています。彼らの支援を受けることで、サービスや製品をより早く市場投入したり、コスト効率良く運用したりすることが可能になり、結果的に収益向上を狙えます。
専門知識と技術の強化
AWSパートナーは、AWS認定資格者を多数かかえており、クラウドの最新技術やベストプラクティスに精通しています。そのため、複雑なシステム設計や高度な運用管理などを任せることができ、自社スタッフはコアビジネスに専念しやすくなります。
マーケティング支援とリソースアクセス
パートナーを通じてAWSのプロモーション企画や共同マーケティングに参画できるケースもあります。たとえば、自社製品とAWSソリューションを組み合わせたキャンペーンを実施するなど、市場での認知度向上や新規顧客獲得に役立ちます。
AWSパートナーの種類とその特徴
AWSパートナーは、主に以下の2つに大別されます。自社の課題やプロジェクトの性質に合わせて、どの種類のパートナーが最適か検討することが重要です。
サービスパス
- 役割: IT戦略立案やシステム設計・導入支援
- 特徴:
- 要件定義やアーキテクチャ設計に強い
- 大規模プロジェクトのマネジメント経験が豊富
- クラウド移行のベストプラクティスを熟知
- こんな企業におすすめ:
- AWSへ初めて移行する
- 大規模システムの設計・最適化が必要
- AWS環境の保守運用を自社で対応するのが難しい
- エンタープライズ向けの高度なコンサルを求めている
ソフトウェアパス
- 役割: パッケージソフトウェアやSaaS製品をAWS上で提供
- 特徴:
- SaaSソリューションの開発・販売に注力
- AWSマーケットプレイスを通じたグローバル展開が可能
- シンプルかつ導入しやすいモデルが多い
- こんな企業におすすめ:
- すぐに使えるクラウドサービスを導入したい
- 既存システムとの連携が比較的簡単なパッケージソリューションを検討中
- 手軽にPoC(概念実証)を行いたい
AWSパートナーの選び方
AWSパートナーを選ぶ際には、自社のビジネス目標やプロジェクト要件をしっかりと整理したうえで、以下のポイントを確認することが大切です。
自社のニーズとマッチするパートナーを見つける方法
- 導入目的の明確化:クラウド移行、AI活用、データ分析など、何を達成したいのかをはっきりさせる
- 業界実績の確認:自社と似た業種・規模のプロジェクト実績があるパートナーを優先する
- サポート範囲の確認:導入前のコンサルだけでなく、運用・保守も含めて対応可能かをチェックする
パートナーの評価基準
- 技術力・知識レベル
- AWS認定資格やトレーニング受講実績の数
- 対応可能なAWSサービスの幅
- 対応スピード・柔軟性
- コミュニケーションのスムーズさやレスポンスの早さ
- 要望や問題点に対して柔軟に解決策を提案できるか
- 実績や顧客レビュー
- 過去の事例や顧客からの評価・口コミ
- AWS公式サイトのパートナー検索での評価
実績と認定資格の確認
AWSパートナーには、Select、Advanced、Premierなどのステータスがあり、上位ステータスほど技術力や実績が豊富とされています。また、SDP(サービス デリバリー プログラム)やコンピテンシーなどを取得しているパートナーは、その分野での高い専門性が期待できます。
AWSパートナーになるためのステップ
注: この章は「パートナーとして活動したい企業」向けの内容ですが、「どのような基準でAWSパートナーが認定されているか」を知ることで、パートナーを選ぶ際の指標としても役立つ思いますので参考にしてみてください。
必要な資格と認定
- AWS認定資格
- Solutions Architect、Developer、SysOps Administratorなど多様な資格が存在
- 担当者が複数の資格を有していると、より高度なプロジェクトに対応できる
- 導入実績の提出
パートナー登録の手順
- AWSパートナーポータルへの登録:企業情報を登録し、APNのアカウントを作成
- サービス・実績情報の提出:対応可能なAWSサービス、導入成功事例などを詳しく記載
- 資格要件の充足確認:AWS認定資格を有する社員数などの要件を満たしているか審査
- 契約締結とステータス取得:審査通過後、正式なパートナーとして認定される
継続的なパートナーシップの維持方法
- 資格更新: AWS認定資格は一定期間で更新が必要です
- 最新サービスへの追随: 新機能や新サービスの学習・検証を継続的に行う
- 顧客満足度の向上: プロジェクトの成功事例や顧客レビューを蓄積
成功事例:AWSパートナーの活用方法
実際にAWSパートナーを活用して成功した企業事例を3つ紹介します。自社の課題に近いものがあれば、どのパートナーを選べばよいかイメージしやすくなります。
オンプレ環境から移行をした事例
- 課題: ホスティングサービス終了に伴い、クラウドへの移行が急務に
- 結果: スケジュール通りに移行が完了。AWSの強力なセキュリティ機能の活用により、システムの防御力が大幅に強化
- 参考:地域金融機関 碧海信用金庫様のAWS移行成功事例 セキュリティと運用体制を強化
利用中のAWS環境の保守運用を依頼した事例
- 課題:兼任インフラ業務の体制を敷いていたが、インフラ業務がコア業務を圧迫してきた
- 結果:コア業務に集中できる環境を獲得
- 参考:インフラ運用保守をアウトソースしてコア業務のシステム開発に注力
開発・制作会社のインフラパートナーとして活用している事例
- 課題:プロジェクトでインフラ調達を求められるケースがある
- 結果:自信をもってインフラ提案ができるようになった
- 参考:制作プロジェクトにおけるインフラ調達を丸ごとお任せ。
まとめ
AWSパートナーの選定は、クラウド導入や新規プロジェクトの成否を左右するほど重要です。自社の目的や課題に合ったパートナーを見つければ、短期間で質の高い成果が得られ、投資対効果を最大化できます。
AWSパートナーを賢く選んで活用することが、競争の激しいクラウド市場で差をつける一歩になるはずです。ぜひ本記事を参考に、最適なパートナー選びを進めてみてください。