CentOSの方向性変更により、多くのユーザーが後継となる新OSへの移行を迫られています。
AlmaLinuxは、この移行先として最適な選択肢の一つです。AlmaLinuxはCloudLinuxにより開発され、CentOSの安定性と長期サポートを継承しています。RHELとの高い互換性を持ち、2029年までのサポートが保証されています。さらに、オープンソースであり、コミュニティ主導の開発が強みです。
この記事では、CentOSからAlmaLinuxへのスムーズな移行方法と、そのメリットについて詳しく解説します。
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CentOSの終焉:なぜ新たなOSが必要なのか
長年にわたり、CentOSは企業のサーバーや開発環境で広く使用されてきました。CentOSの魅力はその安定性と互換性、そして長期的なサポートにありました。これらはすべて、CentOSがRed Hat Enterprise Linux(RHEL)の再配布版であるという事実に由来しています。RHELが商用環境で信頼される同じ理由が、無償で利用できるCentOSにも当てはまりました。
しかし、2020年末、CentOSの開発元であるRed Hatは、CentOS 8のライフサイクルを2021年末で短縮し、その開発をCentOS Streamにシフトすると発表しました。CentOS StreamはRHELのアップストリーム版であり、その開発はRHELのリリースに先行します。これにより、CentOSの安定性と長期サポートという特性は、一部のユーザーにとっては問題となりました。
この変更は、多くのCentOSユーザーが新たなLinuxディストリビューションへの移行を検討するきっかけとなりました。CentOSの後継となるOSとして一部のコミュニティや組織は、AlmaLinuxなど新たなOSを選定しています。なぜこれらの新OSが必要となったのか、そしてなぜAlmaLinuxが注目されているのか、次の節ではその理由を深掘りしていきます。
AlmaLinuxの紹介:CentOSの後継としての魅力
AlmaLinuxは、CentOSの後継として注目を集めている新しいLinuxディストリビューションの一つです。CloudLinuxにより開発が進められており、その目的はCentOSのような安定性と長期間のサポートを提供することです。これにより、CentOSからの移行を考えているユーザーにとって、AlmaLinuxは魅力的な選択肢となっています。
AlmaLinuxはRHELとバイナリレベルで互換性があり、CentOSが提供していた機能とサポートを提供します。これにより、RHELやCentOSベースの既存のスクリプトやアプリケーションを、AlmaLinuxでも問題なく動作させることができます。
また、CloudLinuxはAlmaLinuxに対して少なくとも2029年までのフルサポートを約束しています。また、プラチナスポンサーとして参加しているサイバートラスト社が、最長16年の商用サポートをすると発表したことも話題となりました。これにより、長期間にわたる安定した運用が求められるビジネスシーンでも、AlmaLinuxは信頼できる選択肢となっています。
さらに、AlmaLinuxはオープンソースプロジェクトとして運営されており、コミュニティ主導の開発が行われています。このため、ユーザー自身が開発に参加し、システムの改善や新機能の提案を行うことが可能です。
以上のような特性から、AlmaLinuxはCentOSの後継として、また、新たなLinuxディストリビューションとしての魅力を持っています。しかし、AlmaLinuxがなぜ他のOSよりも優れているのか、次の節ではこの点について詳しく探っていきます。
AlmaLinuxと他のOSの比較:なぜAlmaLinuxが選ばれるのか
各Linuxディストリビューションの関係性は次の図のようになっています。
AlmaLinuxとその他候補となるディストリビューションとの違いを表でまとめてみました。
AlmaLinux | Rocky Linux | Amazon Linux | Ubuntu | |
---|---|---|---|---|
用途と対象 | 一般的なサーバーや開発環境向け | 一般的なサーバーや開発環境向け | AWS上での使用を最適化 | 広範な用途、デスクトップからサーバー、クラウドまで |
開発 | CloudLinuxによる開発 | CentOSの共同創設者による開発 | AWSによる開発 | Canonicalによる開発 |
サポート | 8系:2029年まで 9系:2032年まで | 8系:2029年まで 9系:2032年まで | 5年間のサポート | 5年間のサポート |
互換性 | RHELとバイナリレベルの互換性 | RHELとバイナリレベルの互換性 | Fedoraベース | Debianとの互換性。RHELやCentOSとの直接的な互換性はなし |
コミュニティ | オープンソース コミュニティ駆動 | オープンソース コミュニティ駆動 | AWS主導 | オープンソース コミュニティ駆動 |
リリースタイミング | RHELに依存。2021年初頭に最初の安定版リリース | RHELに依存。AlmaLinuxのリリース後にリリース | 2年ごとにメジャーバージョンリリース | 6ヶ月ごとに新バージョンがリリース |
AlmaLinuxとRocky Linuxは、一般的なサーバーや開発環境向けのOSとして設計され、RHELとのバイナリレベルでの互換性を持つことを目指しています。このため、これらのOSはCentOSやRHELからのスムーズな移行を望むユーザーや、一般的なサーバー環境での運用を必要とするユーザーに適しています。
どちらもコミュニティ駆動の開発をしていますが、AlmaLinuxのほうがLinuxディストリビューションの開発とサポートの経験が豊富で、リリースについても迅速に対応している実績があります。
一方、Amazon Linuxは、Amazon Web Services (AWS) 上で最適に動作するように設計されています。これにより、AWSをメインのクラウドプラットフォームとして使用しているユーザーにとっては、Amazon Linuxが最適化された選択肢となる可能性があります。Amazon Linux2023からは、2年ごとのメジャーバージョンリリースと5年間のサポートを表明しています。
CentOSからAlmaLinuxへの移行
CentOSからAlmaLinuxへの移行は「ELevate」というツールが用意されています。
移行は「IN-PLACE」、つまり上書き方式で行われ、すべてのデータ、アプリケーションおよび設定が保持されます。既存サーバーの複製を行い、アップグレードを行い動作確認を実施後に本番環境への適用を行う、またはサーバーの差し替えを行うことでアップグレードが完了します。
もし、移行ツールが動作しない、またはシステムが正常に動作しない場合は、再構築を実施しデータ移行をすることをお勧めします。
まとめ:AlmaLinuxのCentOSの後継としての可能性
AlmaLinuxは、信頼できる企業であるCloudLinuxが開発と維持を担当しており、2029年までのサポートが保証されています。最近では、サイバートラスト社が16年間の商用サポートの表明も行いました。
また、AlmaLinuxはRHELとバイナリ互換を持ちリリースも迅速に行われています。移行ツールも提供されているため、既存のシステムへの影響を最小限に抑えながら移行が可能です。そして、オープンソースとしてコミュニティ主導で開発されているため、ユーザーのニーズに応じて進化を続けることができます。
AlmaLinuxをCentOSの後継としての候補に入れてみてはいかがでしょうか?
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