AWS保守費用を約33%削減!不動産クラウドファンディング基盤を支える保守運用パートナー切り替え事例

AWS保守運用をアウトソースするためには、安定稼働させるサポート品質はもちろん、運用コストも重要な要素となります。本記事の事例では、保守運用パートナーの切り替えにより保守運用費用を約33%削減することに成功した、株式会社LIFULL Investmentのプロダクトマネージャーの古川様にお話を伺いました。

まず、古川様の役割と担当プロダクトについて教えてください。

「LIFULL 不動産クラウドファンディング」事業のプロダクトマネージャーの役割を担っています。

株式会社LIFULL Investmentは、株式会社LIFULL(東証プライム 2120)のグループ会社として、不動産特定共同事業、不動産事業者向け融資、LIFULL地域創生2号投資事業有限責任組合のファンド運営、そして地域創生に寄与する不動産への投資等を行っています。私が担当する「LIFULL 不動産クラウドファンディング」では、不動産事業者の多様な資金調達手段の一つとして、一般投資家から出資金を募集する投資プラットフォームを提供しています。金融事業ということもあり、安定稼働はもちろん、障害発生時の迅速な対応が必須となります。

パートナー再選定のきっかけは何だったのでしょうか?

AWSの保守運用費用の値上げ要請がきっかけです。約20%運用コストが上昇する見込みとなり、予算を圧迫するリスクを抱えることになりました。そのため、保守運用費用を維持できる方法を模索しはじめました。

当サービスは少数精鋭で運営しているため、私自身もプロダクトマネージメントだけでなくマーケティングや集客など幅広く担当しています。今回のAWS保守運用パートナー再選定においては、情報システム部門とも協力して進めました。

保守運用パートナーを比較する際、特に重視したポイントは何ですか?

重要なポイントと位置付けていたのは次の3点です。保守運用費用とサポート水準を維持できるパートナーを再選定する必要がありました。

1.コスト
運用コストの上昇を回避し、元の水準に抑えたいという思いが強かったです。

2.サポートスピードや質
社内には十分なエンジニアリソースがないため、障害発生時にすぐに対応してもらえる体制が欠かせません。スピード感を持ってしっかり対応してくれる会社が良いと考えていました。また平常時でも、情報共有のためのドキュメンテーションやコミュニケーション等が丁寧かどうかを重視しました。

3.契約条件(損害賠償リスクの取り扱い)
金融免許事業という特性上、リスク分担を適切にしてもらえる契約内容であることも重要でした。

コストを比較する上で苦労したことはありましたか?

コストを比較するための条件をそろえることが大変でした。旧パートナーの提供内容を基準にして比較表を作成。各社のサービスの情報を埋めていきます。細かく見ていくと、ログ調査、メールキュー削除、サーバー設定などが標準サービスに含まれておらず、オプション提供のところもありました。ぱっと見だとサービス内容の違いがわかりにくいのですが、それらを調べて埋めていくのが大変な作業でした。

また、各社それぞれ得意とするサービス規模が異なり、弊社の規模に適したサービス内容を提供してくれるところを見極める苦労がありました。

サポートスピードや質の比較はどのように行いましたか?

選定の段階で実際のサポートを受けることができるわけではありません。そのため、問い合わせをしてから提案をいただくまでのスピード感や対応の丁寧さを注視することにしました。

ディーネットを採用した決め手は何でしょうか?

数社のサービスを比較検討しましたが、我々が重視していたポイントを、高い水準で満たしていました。社内稟議を上げる際にも、比較表で優位性がはっきりしていたのでスムーズに承認を得られました。

具体的な決め手は次の3点です。

1.AWSの保守費用を約33%もコストカット
値上げを回避するだけでなく、コスト削減ができたのは大きな成果です。各社のサービス費用を比較していくと、他社は必要なオプションをつけると最終的な費用が上がってしまいました。それに対して、ディーネットさんのサービスは我々が必要なものの多くが標準サポートに含まれており、最終的にコストパフォーマンスが最も高くなりました。

2.初期対応に営業担当者だけでなくエンジニアも参加
営業さんとエンジニアさんが最初から直接対応してくれたこともあり、丁寧かつスピード感ある提案をしていただけました。専任のインフラエンジニアが不在という部分をサポートしてくれそうな印象を受けました。

3.損害賠償リスクの取り扱いが明確
契約条件、特に損害賠償リスクの範囲や重過失の定義を明確に調整していただけたので、コンプライアンス上の不安も解消されました。

保守運用パートナー切り替えのスケジュールや手順を教えてください。

約1か月半で切り替えが完了しました。旧パートナーの保守と並行する形でディーネットさんの保守を開始できるように準備を進めました。準備が完了後にディーネットさんの保守を開始し、その後旧パートナーの保守を終了させました。

パートナー切り替えにあたり、保守サポートがない期間は発生させたくありませんでした。一方で、平行期間中に重複して保守運用費用が発生するのも避けたいとも考えていました。そこで、旧パートナーの契約終了とディーネットさんの契約開始のタイミングはあわせつつ、実際の保守運用の開始日を前倒ししてもらうことで、スムーズな切り替えを実現できました。

切り替え中に感じたリスクや想定外のトラブルはありましたか?

「本当に同等のサポート品質が確保されるか?」という不安はありましたが、結果的には遜色のない体制でした。むしろ不要なリソースの洗い出しを提案いただき、コスト最適化につながるなど、より良い品質になったと感じています。

今後のAWS運用やシステム拡充の計画やディーネットへの要望はありますか?

「LIFULL 不動産クラウドファンディング」が安全に安定稼働することが最重要と考えています。そのため、AWS環境の面では、可用性向上やセキュリティ強化に力を入れたいと考えています。運用面においては、トラブル発生時の迅速な連絡と対応を提供してもらえることを期待しています。


事例のポイントおさらい

約33%のコスト削減

  • 保守運用費用の約33%削減を達成。
  • 不要リソースの整理・最適化も提案され、AWS環境の最適化を実現。

エンジニアが直接対応するサポート体制

  • ログ調査やサーバー設定変更などをオプション追加なしでカバー。
  • 金融免許事業に必須の即時連絡・クイックレスポンスにより、安定稼働を実現。

柔軟な契約内容でリスクを最小化

  • 損害賠償リスクや重過失の定義を明確化し、コンプライアンス部門の指摘にも対応。

ディーネットでは、「ミドルウェアまで含めた広範な対応」と「柔軟さ」を強みに、お客様のWebインフラを一貫してサポートしています。属人化・コスト最適化・セキュリティ強化などの課題をお持ちの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

LIFULLグループの100%子会社である金融事業会社として、不動産特定共同事業、不動産事業者向け融資、LIFULL地域創生2号投資事業有限責任組合のファンド運営、そして地域創生に寄与する不動産への投資等を行っています。

ご利用いただいたサービス

AWS環境の保守運用サポートを担当させていただきました。
お客様のクラウド環境の安定運用とコスト最適化に貢献できたことを、大変光栄に思っております。

今回のプロジェクトでは、運用ベンダの切り替えに伴い、不要なリソースの洗い出しを行い、システム全体の最適化を支援しました。これにより、単なるコスト削減にとどまらず、今後の運用をよりシンプルで効率的なものにすることができました。加えて、監視強化や適切なリソース管理の提案を通じて、システムの信頼性向上にも貢献できたと考えております。

パートナー様との円滑な情報共有を通じて、迅速な課題解決を実現できたことも非常に印象的でした。これからも、お客様のビジネスを支える信頼できるパートナーとして、最適な運用支援を提供してまいります。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

担当エンジニア: 安田(技術ブログ https://blog.denet.co.jp/archive/18/